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2007.11.22
短編:目が見えない話
私は生まれた時から目が見えません。

小さい頃はそれが理由で色々苦労しました。
しかも親の都合で、何度も小学校が変わっていました。

これはその時に出会った、友達のお話です。

何度目かの転校、そこは田舎で、学校があまり大きくありませんでした。
特殊学級なども存在しないので、私は同い年のみんなと授業を受ける事になったのです。

目が見えないという事、転校を繰り返した事もあって私は自分から他の人に
話しかけたりする事ができませんでした。
そんな私に、最初に話しかけてくれたのはA君でした。

「ここは段差があるぞ、気をつけろよ」
「こっから階段だ、10段あるから数えながら降りるんだぞ」

勝手のわからない学校の中を丁寧に案内してくれたり、
困っていると、それとなく手伝ってくれたのです。
そしてクラスのみんなも、何かと気を使ってくれました。

最初はとても嬉しかったのですが、私は少しづつ不安になってきました。
最初は仲良くしてる人も、次第に煩わしくなって話さなくなる人はたくさんいます。
A君もそうなってしまうんだろうか、そう思ったのです。

そんな私の不安をよそに、A君は変わらず私と話し、優しくしてくれました。
私はある日、気になって彼に尋ねました。

「A君はなんで私に優しくしてくれるの? 面倒くさくないの?」
「そうしたいからしてるんだよ、面倒くさくなんかないよ」

可哀想だから、とか。
先生に言われたから、とか。
そんな言葉を予想してた私は、とても驚きました。


そして月日は経ち、また私は転校する事になりました。


最後の日
今までの学校ではできなかったけど、勇気を出して教壇に立って、
みんなの前で、A君に「ありがとう」と伝えました。

椅子を引く音がして、A君が立ち上がったのがわかりました。

「僕からもありがとう
 僕と、普通の友達として接してくれて」

…?
私は最初何を言ってるのかわかりませんでした、A君は続けます。

「みんなもありがとう、僕の願いを聞いてくれて」

「気にすんなー」
「いいってことよ」

クラスのあちこちからA君に声がかかりました。

「どういう事?」
「黙っててごめん、僕も、目が見えないんだ」

A君の言葉に、私は驚きました。

「みんなも先生も、僕が普通の友達として接したいってお願いを
 聞いてくれて、ずっと隠してくれていたんだ」

「だから僕は、君の前でだけは”目が見える僕”でいたんだ」

「僕が君と一緒にいたのは可哀想だからじゃない
 普通の人として、君と友達になりたかったんだ」

「だから、僕からも、ありがとう」

言い終わるとA君が椅子に座る音が聞こえました。
私は彼の言葉には何も返す事ができず、そのまま帰りの会は終わりました。

A君は、目が見える普通の人として接して欲しかった。
もし目が見えないと知っていたら、私はA君とどう接しただろう?
逆に私の目が見えたら、私はA君とどう接しただろう?

私はあの時A君になんと言ったらいいのか、

未だに答えを出せずにいます。




■俺の話はスカっと終わる事が無いという、典型的な小話でした
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